ちょっと久々にDVDでみたら我慢できなくなって感想文.
以下,完全にネタバレ.
見てから読んで,さらに見て欲しい.あ,知り合いなら貸すよ~
アンドリューNDR114 (原題 Bicentennial Man)
主演:ロビン・ウィリアムス
というわけでここからはあらすじ.
あらすじ
この話はNDR114という人型ロボットがマーティン家に来るところから始まります.
着ぐるみはちょっとしょぼい・・・でもこれ,ロビン・ウィリアムス本人が入ってるらしく,ま,この後の話のすごさから行ったら必要だと思う感じのチープさ.許せる.
んで,主人のミスターマーチンが家族を驚かせるつもりでみんなを集めるんですけど,最初はまったく受け入れられない感じなんですよね.
娘二人のうちの姉(ミスとアンドリューに呼ばれる)には本当に嫌われてる感じ.でも妹(リトルミスと呼ばれる)には意外と好感触.
ここでロボット3原則についての描写があります.
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
最初,物置で独りぼっちで充電している姿がさびしげでした.
んで,ある時,アンドリューがリトルミスの大切なガラス細工を壊してしまうところから話が展開し始めます.
リトルミスはかなりお冠なんですけど,アンドリューは木材の加工法などを勉強して,同じ馬を象ったちいさなオブジェを作ります.
アンドリューは他にもいくつか動物の像をつくったのですが,それを見たミスターマーティンはあることに気付きます.
その像が何かの完全な模倣ではなく,オリジナルなデザインなのです.
アンドリューに創造力があることを見抜いたミスターマーティンはアンドリューをできるだけ家族として扱い,アンドリューにいろいろと教えることにしました.
どうやらこのアンドリューの現象は故障によるものらしく,直接の原因は描写されていませんが,ある日,姉であるミスマーティンに「窓から飛べ」と言われて壊れかけたことに由来するのかな,と思います.
第3条に抵触するのですが,第2条が優先されて自殺行為が出来ちゃうわけで.
んで,アンドリューは人間活動についての知識や,モノづくりの知識を得ていくことになります.時計を作る知識を得て,相当儲けたような描写があります.
ここで,アンドリューに好意的なリトルミスは,アンドリューが行った事業なので,アンドリューがその報酬を受け取るべきだと考え,父であるミスターマーティンもアンドリューの口座を開くなどのバックアップを行います.
このあたりでリトルミスはお嫁に行ってしまいます.アンドリューにお嫁に行くんだけど・・・と告白するところでは「オイッ!」と突っ込みたくなる感じ.
このころからアンドリューは感情表現能力を持つ顔にアップグレードしました.
かなり勉強したアンドリューは,「自由」に目覚めます.
自由になりたい.自由と認めてもらいたい.
アンドリューはミスターマーティンに全財産と引き換えに自分を自由だ,と認めてほしい,と言います.
ミスターマーティンはこれには狼狽します.
しかし,結果的にはアンドリューに全財産をつっ返し,出て行け,と言います.
自由と認めてもらいたいなら,その代償も受けなさい,と言います.
結果的に,ミスターマーティンは亡くなる直前に,このアンドリューの考えが正しかったことを認めます.
さらに時間がたち,アンドリューは,自分と同じ境遇のロボットを探す旅にでます.長い長い旅です.
アンドリューは最後にようやくガラテアという女性型のロボットに出会います.
ガラテアは陽気に振る舞い,ダンスを踊って歌を歌うロボットでした.人格を持っているように見えます.
しかし,ガラテアはロボット工学者のバーンズ博士によって人格をプログラムされたロボットでした.
これにはアンドリューはがっかりとしますが,バーンズ博士はロボットの外見を人に近づけるためのアンドロイド研究を行っていました.
これを使ってアンドリューは人そっくりの外見を手に入れます(お金ならあるwww)
んで,意気揚々と返ってきたアンドリューですが,長い旅の結果,リトルミスはおばあちゃんになっていました.
そのとき出会ったリトルミスにそっくりなポーシャをリトルミスと間違えちゃいます.これが運命の出会い.
リトルミスも年老いて脳卒中で亡くなります.彼女は亡くなるベッドの上で,最初にアンドリューが作った馬のオブジェを握りしめていました.
アンドリューはこのころからポーシャと親しくなります.
また,アンドリューはリトルミスの死から,人工臓器の研究にのめり込みます.それはアンドリュー自身の身体を人間に近づける試みであると同時に,身体不全になった人間のための代替臓器とするためです.
また,神経回路を得たアンドリューは「感覚」を手に入れ,さらには生殖器を手に入れます.
そして,またリトルミスのようにお嫁に行こうとしていたポーシャを奪い,プロポーズするのです.
しかし,ポーシャは,『私たちのことは認めてもらえないわ」と言います.アンドリュー「そうはさせない」
アンドリューはこのころから人間になるための取り組みを始めます.
議会で自身とポーシャとの結婚を認めてもらうようにお願いします.
議長「君の体は人工物だ」
アンドリュー「議長の腎臓も僕が開発した人工物です.僕の身体は人工物ですが,たった一つ,この心だけは人間と同じです」
ちょっとグッとくる.
が,議会では「君の脳回路は陽電子回路で,不死だ.議会は不死身の人間は認められない」と否決されてしまいます.
このころになってポーシャも老いました.どうやらアンドリューの開発した臓器等を使っているらしく,見た目は50くらいですが実際は70歳との描写があります.
まだまだ生きられるように見えたポッシュも,「もうやめたい」と言います.なぜ,とアンドリューが問いかけると,「それが自然の摂理だからよ.」と答えるのです.
そこでアンドリューは死を求めるようになります.
映画では血液を注入するシーンがあり,これで不死身では無くなった,とのセリフがあります.
それからおそらく30年後,再びアンドリューが議会に立つシーンが描かれます.アンドリューは老いました.ポーシャも老いています.
アンドロイドとして永遠の命を生きることも出来たのに,なぜ死にそこまでこだわるのでしょうか.
最後のシーンではポーシャとアンドリューがベッドの上でテレビを見るシーン.テレビで議会はアンドリューの結婚に関する決議を述べ上げますが,この述べる最中にアンドリューは息を引き取ります.
「アンドリューは製造から200年経っています.その意味では,アンドリューは200歳,世界で最も長く生きた「人間」です.議会はアンドリューマーティンとポーシャマーティンの結婚を認めます」
ポーシャはアンドリューが息を引き取ったのを確認すると,看護婦にこう言います.
ポーシャ「お願い,私の生命維持装置の電源を切ってくれますか?」
看護婦「わかりました」
プチッ
ポーシャ「ありがとう,ガラテア.」
–あらすじここまで.
感想
パーソナリティに目覚めたアンドリューを連れて,ミスターマーティンが製造元に行くシーンがあります.
ここで製造元のマネージャーは「故障です.何をするかわからない.人を傷つけるかもしれない」と言って交換を勧めますが,ミスターマーティンは,「彼はユニーク,唯一だ.個性を持っているのだ」と言って交換を行いませんでした.マネージャーはこうも言います.NDR114は家電製品だ,と.
ロボットとは何だろう,と思うのです.
ミスターマーティンは少なくとも(反発することもありましたが),アンドリューを友人として扱っていたように見えました.家電が友人になるでしょうか.家電と友人の違いはなんでしょう.(比べるなって?www)
自分に危害を加えるかもしれないけど,それ以上の価値を与えてくれる存在,それがパートナーだと思うのです.なんでも服従するって間柄に信頼は生まれません(こりゃ人間と人間の関係にも言えるな・・・)
ただ,命令に服従するロボットはパートナーロボットではないと思うのですよ.その辺の研究にもっとスポットライトが当たるといいな,と思うのですが.ま,僕は実際そういう研究やってたし.
アンドリューが神経回路を移植され,感情を持つ,というシーンでは博士が,「時には猛烈な感情を持つことがあるが,それに耐えられるか?」というシーンがあります.
ロボットに怒りや悲しみを与える必要ってどこにあるのでしょうか.
でもこれも前のパートナーとは,の問題と同じですよね.
人間であることのリスク,それを受け入れることで得られるもの.
ロボットは人間になるべきなんでしょうかね.家電でもいいんじゃないですかね,とも思うわけで.
議会でアンドリューが人間であるか否かについて討論するシーンがあります.
身体が人工物であることが,人間ではない,という根拠になるとしたら,今後人工臓器の技術が進んで行ったときにどうなるんでしょうね.ま,脳までは入れ替わることが無いと思うのですが,僕は身体すべてがパーソナリティを作ると思っています.
臓器を移植された人間が提供者の記憶を受け継ぐという話があります.心臓には神経節(小さな脳)があるので,これが・・・なんて話もありますが,これについてはあんまり信じてません.ただ,心臓を移植した場合,こう言った神経系の接続が行われないので,心拍数の上下動が健常者と異なります.運動すると心拍数が上昇するのですが,それは副腎等で分泌されるホルモンによる情報伝達で心拍数が上がるので,自律神経系の接続がある心臓よりも上昇が遅いのが特徴です.
もっと簡単な例であれば,目が良く見える人は,ド近眼の僕とはまったく違う世界観を持っているでしょうし,鼻が良く効く人はにおいで人の雰囲気を感じることが出来ます.
右手が無い人は右手がある人とは違う世界観を持っているはずです.
それが「個性」です.
身体が人工物であることも個性かもしれません.
そもそも人間とは,という定義をすること自体が科学的ではないのかもしれません.
そして最後のシーン.多くの方々は,最後の看護婦がガラテアという,博士の家でアンドリューが出会ったロボットであったということに気づくでしょう.彼女はロボットです.
彼女の動作に合わせて,ロボットの動作音がします.彼女は人間の看護婦の外見をしていますが,あくまでも「ロボット」として最後のシーンで描かれていると僕は感じました.
そこで,ポーシャの生命維持装置を切る行為は,ロボット3原則に違反していますが・・・
守るべきは人間の命ではなくって,人間の尊厳じゃないかな,と思うわけですよ.
そしてロボットが「尊厳」というものを理解するには・・・と考えるとすごーくややこしいんですよね.ま,その辺は別の機会に.
とにかく,最後のシーンでも,自然とやすらかに息を引き取ったアンドリューと,「電源を切って」というポーシャが対比的に描かれていると僕は感じました.人間ってなんだろうな,と思うのですよ.
そういう作品でした.
ちなみに現代のBicentennial Manは,「200年の人間」,という意味です.
最後まで読んでくれた人,ありがとう.